Information
工房と植物 in Bali
東南アジアにあるバリ島の工房について、今回ご紹介するのは「アタ」
アタとは、インドネシアに自生するシダの植物。その茎の部分を天日干しをして、籠やマットなどを編み込み、更にそれを
燻していくことから艶やかな色が浮かび上がらせていく。この植物から工芸が作られる工程をバリ島の工房で視察してきました。
まず「アタ」の植物は工房の庭の中でもよく繁っています。
みずみずしい葉っぱの生育を見ながら、
この工房へ入る前にスコール(ニワカ雨)が降ったことで、
庭の植物がざわめくように
風が吹いてきたことを覚えています。
実際にこの「アタ」の植物茎の部分を採取し、
最初は天日干しで、こんな薄いクリーム色な茎をしています。
これが次の工芸づくりへと進んでいくのです。
植物の茎を採取してから、いくつかの段階を重ね作られる色と造形。
この美しい飴色が変化していく様はとても面白く、生産的な機械を使わずに自然と向き合う「ものづくり」であると感じました。
次にこの茎紐を使って、最初の写真にあるランチョンマットを編んでいきます。
編み方もシンプルでありながら、独特な模様を創り出しています。
編み込んだランチョンマットは、工房にある窯の中で燻製されていくのです。
その際に蒸していく燃料として使われるのが椰子の実です。
これは防虫・防腐に役立つ効能があるので、
できた工芸品が日用品としても、重宝される工芸であることもわかります。
自然の素材で作り出した「アタ」の窯の様子です。
たくさんの編まれたランチョンマットが窯の中で、
幾重に積まれて、あの美しい飴色へと変化していく工程がよくわかります。
その土地で生育する「アタ」がいくつかの工程で、生活用品として生まれる。
そのバリ島ならではの「ものづくり」は自然と共有しながら
作られていることがとてもよくわかる今回の工房視察では、生活用品として、
飾るインテリアとしても模様やデザイン性が多くの人々が惹かれる要因ではないかと思います。
この「アタ」のランチョンマットを使って普段の朝食の際に使ってみると
南国のホテルでの朝食を味わっているかのように演出できて、新たなインテリアのアレンジにも応用できます。
きっと楽しい食事の演出として、普段の料理に彩りを感じるかもしれませんね。
また、この「アタ」のランチョンマットは和風のお茶碗やお味噌汁の椀にも、とても馴染んでいるので
アジアのデザイン性という共通点があるのかと。
また、ランチョンマット以外に、ポプリを詰める壁掛けの丸カゴや買い物用のカゴなど種類は数多くあります。
今回のバリ島の工房巡りは、植物とのつながりを工夫し、その工程を踏みながら、自然な環境で作っていく。
その環境の工房で、とても魅力的な経験と学びができた旅でした。
バティックの工房 in Bali
バリ島の布工房で、実際にバディックを見学してきたことをご紹介します。
バディックとは
ろうけつ染めの布を言い、ロウを使って染められた色あざやな模様があります。
インドが発祥の地とされていますが、バリ島を含むインドネシアではチャンティンという器具の開発で、
より細かい表現が可能になったことで、ジャワ人の手先の器用さとインドネシアならではの美的感覚により、
このろうけつ染めのバティックが生まれたとの事。
緻密な作業と連続性のあるロウを浸す位置、線の描き方や色の表現力など熟練の技がそこにあります。
そして、同じものが二つとない手描きには、その技が隠れたバティックの魅力がたくさん詰まっています。
バティックは、東南アジアの産地独特の文様や色彩の布があります。
バリ島にはいくつも、そのバディックの洋服やスカーフなどを売っているお店があり、
その中で今回は、実際に工房で作業しているところを見学に行きました。
ここでは、染め以外に、織物や刺繍など職人さんが作っているところを見ることができます。
バティックには、手描きと型押しの工法があり、最初に見たのが手描き染めの工房。
男性の職人さんが絵付けを行っているところです。
次に、手描きバティックの工程を、スカーフを題材に展示してある場所です。
染めの下絵から順に行うことにより、絵が浮かび出す工程を表したものです。
◇手描きバティックの工程
まず最初に、白生地の上に鉛筆で模様を描く
次に、鉛筆で書いた模様を表と裏からロウ引きする。
そして、細かい点や線で詳細な模様をチャンティンを使って、ロウで両面に描き入れていく。
さらに、完成する時に白く残したい部分にロウを厚く両面から塗る作業があります。
ここで最初の染色が始まります。
その染色した部分にまたロウで覆い、次の染色へと進みます。
その後、お湯に浸しロウを溶かし落とす作業に入る。
それぞれの模様に入れる色ごとに、同じ作業を重ねていくという流れです。
繊細な色合いと風土の自然色が入り混じる模様。
これが出来上がるまでに時間を忘れて、その作品が生まれる過程を見ることができたのは、とても貴重な時間でした。
次にこれは、型押しバティックになります。型の段階でも、文様がとても美しく感じました。
◇型押しバティックの工程
チャップという型で、布の表と裏両面にロウで縁取りをします。
次に、下の写真にある細かい模様のチャップで布の両面にロウ置きします。
最後まで白く残したい部分にもう一度チャップでロウを置き、厚い層を作ります。
ここから染めに入り、基本色を染めます。次に染める部分をロウを取り除きます。
さらに次に出す色と混ざらないように、その箇所にロウを塗ります。
というように染めの流れがまた始まります。
そう何度も繰り返して、色鮮やかなバティックが出来上がるのです。
そして、次の工房では機織り機で織っているところです。
赤い糸が徐々に織っていく様を見ながら、この機織り機が紡ぐ音がとても心地よく聞こえてきます。
バリ島の美しい自然から生まれた作品は、その作る人達とその手仕事の工程を直で見ることにより、
より繊細で美しさを知ることができて、とても有意義でした。工房には必ずある花と水。
この睡蓮の花が水鉢からそっとのぞかせていた風景も、心地よい風とともに、心に深く残った工房見学でした。
この工房でできたバティックの洋服を早速着て、海へと出かけました。
素材の生地がとても肌に馴染み、バリ島の暑さも感じさせない涼しげで快適な風合いに
とても満足しています。
今回の工房見学を体感したことは、偶然の出会いとその流れで得た良い機会でした。
単なる観光で来たバリ島で、ものづくりの工房に行く機会を得るとは、行く前には想像してなかったこと。
しかし、その機会を得たことで、バリ島のみだけでなく、インドネシア全体の芸術を知るきっかけになりました。
インドネシアは、このバティックだけでなく、様々な芸術があります。
先天的な色彩感・手先の器用さ・アート感覚などもあふれている国です。
この土地ならではの自然と共存し、ものづくりをしているように思います。
今回の旅でのものづくり工房見学は、その大きな恵みを頂いたようです。
実際に作っているところを見たからこそ、感じたことがあります。
それは、熟練の技によるバティックの価値を身にまとうことにより、その洋服の愛着をより深く感じたことです。
旅に出た際には、もし機会があれば工房見学をした後に、その伝統工芸や特産品を見ることをお勧めします。
自分自身にとって、観光だけではない、旅の知識力やお土産の風土感がより深く残ることになり、
それは、きっと新たな視点を見つけることになるかもしれません。
Art of the wall in Bali
今回は、南国の島バリへ旅した際に目にした壁をピックアップ。
壁を使った面白いインテリアのアレンジを自分の部屋の中で
応用として使える手法をご紹介します。
旅先では観光も、もちろん楽しいですがその中で、
その土地なりに工夫したインテリアのアレンジを見るのもお勧めです。
例えば、これはリゾートホテルのレストランに、ワインを飾った壁。
木型の箱をランダムに飾った例です。奥の壁面を黒の塗料で塗っていますが、日本の場合は
壁クロスを使って、黒にすることもできます。または、実際にオーガニック系の塗装剤を使って、
壁を塗ってもいいでしょう。そして、木箱を重ねていきながら、本や瓶などを飾るのもいいかもしれません。
大きな壁面がなくても、この手法を使えば、壁の一面だけアート風にアレンジできます。
次はバリのデンパサール空港の壁にあるアートです。編みの手法で作られたもの。
色のコントラストと形の大小で、バランスの整ったアートです。
これも奥の壁を黒で塗装されて、そこに3色の丸型のモニュメントを飾っています。
ここからは、壁に絵を描いたものを紹介。
自由の女神をモチーフに、ブロック調の壁に描かれています。近くに植物のシダが天井から吊るしてあり、
描かれている絵や壁の素材であるブロックが見事に浮き出されています。
これはストリートアートやウォールアートと呼ばれる壁です。
この手法は実際に家の中で、使うにはためらいがあるかもしれませんが、ちょっとだけ壁のアクセントに応用するには、
トイレや洗面脱衣室などの小さな壁の一面だけを使って、普段とは違う壁クロスで表現してみるのも面白いです。
さらに次の写真は道が繋がっているように見えますが、実際は壁絵です。
これは壁アレンジを実際にするというより、
こういう工夫を知って見るのもまた違う視点ができて、より楽しさを知ることにつながると思います。
そして、次はショップの階段部分。ステップの部分に模様が描いてあり、白の階段に黒模様が可愛さと
一緒にお店に入るのが楽しくなる雰囲気を作っています。
これは階段ですが、白い食器棚の扉部分の縁などに模様を入れて応用すると南国風にアレンジできます。
模様部分をステンシルで作ったり、またはシールなどで貼ってできるアイテムもありますので、
自分で実際に作ってみるDIYも楽しいと思います。
さらにショッピングモールには、様々な壁の絵がいくつもあります。
ブリック調の壁面とフラットな塗り壁は、
壁の色と合わせて、描かれているのがわかりますね。
壁面を使ったアートなど、観光先で見かけた参考になる例を
写真に撮って、インテリアをアレンジしてみるのはお勧めです。
テーマを決めて、町の風景を見ながら、写真を撮り貯めていくことで、旅がもっと楽しくなると思います。
Timeless.
タイムレスとは、
「永遠なるもの」「時を超えたもの」の意味を込めた記録の物語です。
ここ数年の間に、日本各地をミッシェルと歩いた芸術研究の中で、ある事柄に巡り会い、ひとつの冊子にまとめたものです。
それは、その道ゆく中で、出会った自然の落し物たちを収集し、残し始めたこと。
自然の落し物は、偶然にも私たちの眼に光ったもの、なぜか二人とも魅かれて持ち帰ったものがそこには集まっています。
それが植物標本をはじめた最初のきっかけ。
そして、集めていく中で、その記録を残して行こうと思いたち、初めて冊子としてまとめたのが「Timeless.」です。
ひとつ、ひとつの出会いはそれぞれに違い、その出会った時の印象・その風景の描写を文として残しています。
ー 詩的な文面は、自然の落し物と一緒に、その情景がきっとあなたの心に浮かびあがることでしょう。ー
michelle co
まだまだこの旅は続きます。
自然の中で出会った落し物にある不思議な魅力。
そして、今までに気がついていなかった自然の芸術を感じてもらえたらと
二人の旅がまた、2018年始まります。
......................................................................................
この冊子を手に取ってご覧になりたい方や
ご興味のある方はこちらのwebにある
contact にて、予約販売をお受けしております。
(詳細は問い合わせにて)
販売日:2018/2/17〜
Timeless. 16p (ポストカード 1枚付き)
1部:1200円 (消費税込)送料は別途
※ 限定部数のみ制作になります。
よって、在庫がなくなり次第
販売は終了いたします。
完売の為、販売は終了しました。
...................................................................................
菓子木型美術館 - 芸術と素材の旅 -
今回は、金沢へ行った際に、思いがけない偶然があり、さらに以前から気になっていた事に出会った話。
「菓子木型美術館」は金沢にある老舗菓子店-森八-本店の2階にあります。
江戸時代より菓子作りに使われて来た木型は、落雁などの菓子の道具です。この菓子木型約1000点ほどが展示されて、圧巻の一言。
入った瞬間、菓子木型の優美さと力強さに感動し、制作された職人の方々が考えたアイデアと表現力の豊かさにも声が出ない感覚でした。
一日中いても、全ては堪能できない。その歴史ある菓子木型の膨大な数々にも驚きでした。
また、展示の紹介分にある「木型の誕生」「木型の素材」にある内容は、本を読むようにじっくりと一文字一文字読んだのを覚えています。
菓子本来はもちろんのこと。菓子の木型と一緒にその時代の巧みな模様と優美な彫りを見て、その長い歴史を感じさせる素晴らしい場所です。
ものづくりの中に宿る「芸術」に心の底から感動した旅に、ぜひ、また足を運びたい。
金沢の菓子木型美術館は時間をかけて見るのをお勧めします。