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2024 / 06 / 06  11:00

手仕事を知る、聴く、創る|京都の絵付

 

京都で染織りを学ぶ中で、また違う手仕事を知ることは、とても貴重な時間です。

 

今回は、京都を代表する美しい伝統工芸品のひとつである扇子の絵付けを体験。そこは熟練の職人の分業によって仕上げられる繊細な京扇子を専門に扱い、100年以上の歴史を持つ老舗の奥座敷にて、絵付けを経験しました。

まずは京扇子の歴史から紐解くと、京扇子は平安時代に日本で生まれ、1200年もの時間のなかで日本独自の文化と共に発展してきたと聴きます。扇子には、実用的な用途だけではなく相手への礼節を表す役割もあり、また扇子に描かれた四季折々の情景や縁起の良い図案には、人々の祈りや願いなどの意味も込められているとの事です。

 

京扇子はその絵柄にも特徴があります。京扇子には四季の草花や生き物が描かれ、京都らしいで優しい印象があります。京扇子に描かれる絵は、さらに琳派の影響を大きく受けているとも聴きました。

扇子の意味を知り、和室での美しい所作を学ぶ、日本古来の扇子の持つ意味や歴史、所作などについてなど、知らない扇子の物語はまだまだ続きます。例えば『源氏物語』などに見られるように、扇子は平安時代には扇面に和歌を書いたり花を乗せて想い人に贈ったりと、雅な交流に使われていたりと聴くと次は和歌をさらに知りたくなる。知れば知るほど、深い意味が語られていきます。

 

ただ単に暑い時に風を起こす道具だけでない扇子は古くから日本の文化と共に歩み、現代でも和室における礼儀作法に欠かせないものであると今回の体験にて、扇子の新しい知識を吸収しました。そして絵付けでは、いくつかの色の重ねを作り、そのにじみをさらに重ねていく。自分なりの筆心にて、その模様に自分なりの色あいをグラデーションのようにひとつ、ひとつに波を作るように重ねていく工程。とても繊細で雅な絵付けの時間を得た京扇子のモノづくり。

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旅と伝統と経験は明日の自分に、小さな幸せの学びと共に大きな影響を与えてくれます。

出来上がった絵付けの扇子を手に取ると、どの高価なものより愛着がふつふつとわいてきて、もうすぐ来る夏を前に静かにあおいでみたら、なんと香りがふわっとわいてきて、これがまたとても麗しい。

 

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ぜひ、旅先では観光以外に伝統工芸体験という新しい旅の愉しさを味わってみるのもおすすめします。

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