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2020 / 09 / 16  19:33

北欧の装飾にひそむ作品の物語と暮らしの工芸

北欧の装飾にひそむ作品の物語と暮らしの工芸

インテリアのひとつに、飾るという言葉があります。

その飾るの中にある英語で言う「デコレート」(decorate)には装飾の意味であるデコレーション(decoration)も含んでいます。

装飾にもたくさんのインテリア・アイテムがあり、布地であるカーテンや壁に貼るクロスなどもその中に含まれます。

その中でも、特に日用品にある装飾をいくつかご紹介したいなとおもいたち、

今回手にした本をきっかけに、以前出会った食器を思い出しながら、

その作品とそれを作ったデザイナーをご紹介したいと思います。

 

暮らしの中で使う食器は普段、どんな器を使っていますか。

白い器も素敵ですが、

装飾が美しく彩られた器もひとつ加えただけで、

食卓に花が咲いたような特別な時間を与えてくれます。

 

 

今回手にした本が『フィンランドのアラビア手帖』。

 

                                                                                                                         IMG_6488.jpg

 

 

 

そして、ご紹介する作品がエステリ・トラムのコーヒーカップの装飾です。

 

アラビアは、フィンランドの陶磁器ブランドです。

フィンランドを代表するアラビア窯は1873年、スウェーデンのロールストランド社の子会社として創業。ここから数多くの心に残る作品が生み出されていきます。このアラビアの作品に出会ったのが、2014年。

長崎にあるアンティーク・ショップの中でみつけました。実はその時までは、アラビア陶磁器はもちろんのこと、フィンランドのものである事もわからずに、この一点だけを長い時間見ていたことをとても覚えています。

その当時は、北欧という言葉が日本のインテリアの中でも浸透しつつ、北欧の暮らしなどが人気の時期でした。

そんなことは知らずに、たまたま寄ったお店の中にあるコーヒーカップを見た時に、そのカップにある装飾にとても魅了され、惹かれたのを今でもすごく覚えています。

 

この作品はエステリ・トムラが描いたものであるのは、数年経った後に知りました。

繊細な線で描かれた花など、ボタニカルシリーズは、どの作品も素敵な作品ばかりです。

1950年代はアラビアで手描きによる装飾をたくさんデザインし、1950年代後半にはデザインのアウトライン部分をプリントし、手描きで色を足す手法を取るようになったとあります。

アラビア陶磁器から、個性光る作品が多く生まれ、装飾デザインに徹してきたとあるエステリも数々の作品を残しています。

アラビアで150を超える作品を手がけたエステリは、それ以上にたくさんのデザインを考えていたとあり、膨大な量のスケッチには、あきらめずに常に新しいアイデアを求めて、努力を惜しまなかった姿勢が作品の中に物語っているということです。

エステリの作品づくりを知ると、さらにその作品の中にも、その力強さと可愛さ、親しみやすさなどが刻まれているように感じてしまうのは、わたしだけではないように思います。

彼女の作品が多くの人々に親しまれ、フィンランド内だけでなく、海外にも親しまれているのは、その物作りを静かに作品の中の装飾から語っているからではないかと思います。

フィンランドの陶磁器ブランドである「アラビア」の作り手の物語や作品はまだまだ沢山あります。

ぜひ、この機会に『フィンランドのアラビア手帖』を手にして、アラビアの作り手を知ってみることをおすすめします。

作品と共に作り手の作風や物語を知ることは、暮らしの中で使う私達に新たな楽しさを与えつつ、

工芸という日用品の愛着がふつふつと湧いてくるように思います。

 

さらに北欧だけでなく、日本の工芸もその土地ならではの作り手がものづくりを語っています。

いつかまた旅に出る時までに、その土地の工芸を探ってみるのもお勧めします。

さらなる旅への楽しみがきっと増えていくはず。 

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