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2026 / 04 / 20  11:11

西陣・爪掻綴織との出会い──描くように織る、新たな表現へ

西陣・爪掻綴織との出会い──描くように織る、新たな表現へ

今年の春、京都・西陣に伝わる伝統技法「爪掻綴織」と出会いました。
指先の“爪”だけで文様を織り出すという、想像を超える繊細な世界。
絹糸が重なり合い、静かに浮かび上がる色彩は、まるで一枚の絵画のように雅な物語を紡いでいきます。

 

今回私は、この技法を実際に学び、自ら描いた模様をもとに綴れ織りとして表現する体験をしました。

 

2021年に織物を始めた当初、平織りから綾織りへと進んできました。
それは織物の基礎であり、多くの人が辿る道でもあります。
しかし綴れ織りは、その延長にありながらもまったく異なる世界でした。
糸を“織る”というより、“描く”。
一筋一筋を重ねながら、感覚と集中力で形を生み出していく――極めて細やかで、静かな対話のような作業です。

 

綴れ織り自体は日本に限らず、世界各地に見られる技法ですが、
なかでも西陣の「爪掻綴織」は、熟練の職人の手仕事によって磨き上げられてきた特別な存在です。
普段、何気なく目にする着物の帯に宿る雅な文様も、実はこの技法から生まれています。

 

今回の体験を通して、ふと浮かんだのはインテリアへの展開でした。
この綴れ織りをテーブルマットとして表現してみると――
伝統の中に、思いがけないほど新鮮なデザインの可能性が広がり、心が躍るのを感じました。

 

ただ、その道のりは決して容易ではありません。
特に円を描く表現は想像以上に難しく、初めての制作では驚くほどの時間を要しました。
それでも、幾度もの試行錯誤の先にこそ、新たな理解と感覚が宿る。
今回あらためて、技術の奥深さと向き合う意味を実感しました。

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_自分の爪に、櫛のようにヤスリで彫り、細い絹糸で模様を描いていきます。

西陣・爪掻綴織との出会い──描くように織る、新たな表現へ

 

さまざまな土地を訪れ、その地域の文化や歴史に触れながら、技を磨いていく。
この「織物の旅」は、これからも続いていきます。

 

経験すること。試すこと。使うこと。
過去から現在へ、そして未来へとつながる「ワタシ・テキスタイル」の物語。

 

どうぞ、これからの展開も楽しみにしていただけたら嬉しいです。