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2024 / 12 / 15  15:23

日常に寄り添う芸術:染色と織りの新たな可能性


今年の春に新しい冊子が完成し、その過程を記録した織物の物語。この続きから2024年秋に、驚くような素敵なことが繋がりました。今年があと2週間と残すことになり、その素敵な話と共に、この1年間の体験や視察から気づいた染織りと今の想いをお届けします。


キャンパスに絵を描くように、真っ白な糸に自然の色を重ねて染めていく、その染めあげた糸を経糸と緯糸で織っていく。その工程がまさに芸術を生みだしていく手仕事の世界ではないかと深く感じています。これが自分自身なりに思い描きながら、創りだしている織物であり、さらに暮らしに寄り添う日用品として使う日々の愉しさと豊かさが心にどんどん貯まっていきます。

手仕事で作った織物は、自然から抽出した色糸でコースター、テーブルマット、クッションカバーと次、次と織りあげた後にできあがる喜びと共に、それを部屋に飾り、普段の暮らしに新たなエッセンスを加えていく。それがたまらなく愛着をうみだし、暮らしに温かく彩りを加えていきます。そして、それはまた次なる創作へと膨らみ、進んでいくのです。


そもそも、染織りとは何か。と問われると一言では伝えきれないですが、それを少しだけ探ってみると、実は織りの技法は基本的に3つで分かれています。しかし、これがまた土地の文化や伝統的な技法などがあり、まだまだ染織りの歴史や内容は深く、魅力的で語りきれないぐらい沢山あります。

まずは最初の基本のキにある「平織り」で、糸から色を描いていく織りには、面白いほどに、ひとそれぞれの感性が生まれていきます。それは様々な場所を巡って、染織りの体験をしていく中でわかってきたことです。熟練の職人さんはもちろんのことですが、ここで書いている人それぞれは、まだ始めたばかりの方や職業としてではなく、長く織りをやっている方も含めて、染織りの世界に入ったら、その個性が織物の中にふつふつと浮かんでくる様は、まさしく感性の色であり、その人の色彩だと感じています。


実は、ここで素敵な話へと続きます。2024年福岡県立美術館で開催された県美展の工芸にて、自身の作品「色草組曲」の織りが入選しました。歳を重ねて歩んできたひとつの時代から新たに今発見した、好奇心揺さぶられた染織りの世界。そこから自分自身の感性から描きだし、織りあげた作品である織物。それが、この機会にこのような賞を頂き、大変嬉しく、心にまたひとつの花の種を手に入れたような気持ちです。


2022年京都に通い、1年間技能を学んだ時は

何度もくじけそうになる修練に、心身ともに挫折しないかと自分に問いかけながら、とにかく染織りの魅力だけが支えに奮起した思いが今でもよみがえります。この全ての事と場所に感謝したい。そう願って、今はこれからの可能性にさらなる修練し、沢山の自然にある色彩や染織り技法をもっともっと知りたいと日々の織りと共に歩んでいます。

何がどうなかるか、わからないからこそ、心が引き寄せられるものや人、場所にはぜひ行ってみる。その行動や勇気は、きっと新たな可能性の種になると実感できた1年でした。

来年も臆せず、興味ある事には常に体感できるように心身共に丈夫でありたいと願います。


2025年を前に、来年も皆様が良いめぐり逢いを重ねられますように。